子供の頃、親に近所の理容室(床屋)へと連れていかれて、大人になってもそのままずるずる理容室を利用し続ける男性も少なくない。ぼくもそう。大学進学や就職を契機に、もっとオシャレな髪型にしてみたいと思っても、美容院は女性が行く場所というイメージを前に、足がすくむ人も多い。ぼくもそう。
が、美容院を利用する男性は増えてきており、ハードルはどんどん下がっている。
というわけで今回は、初めて美容院へ行こうとする人の不安を払拭するため、美容院のデビュー方法を解説する。これから美容院デビューしようと考えている男性に是非読んで欲しい。
美容院も理容室も髪を切る場所でしかない
最初に言いたいのは、美容院も理容室も、所詮は髪を切るための施設であるということ。それ以上でもそれ以下でもない。厳密には、法律で理容室は髪を整える場所、美容院は髪を美しくする場所と定義されているが、客にとってはどうでもいい。
美容院で髪を切るには何が必要かというと、美容院にいくだけ。それだけ。本当にシンプル。
不安なのは知らないから
美容院デビューに抵抗があるのは、美容院のことを知らないから。男性が入店しようとした瞬間、店の奥から屈強な黒服がやってきてつまみ出されるのではないか、「こちら女性専用なんで出て行ってもらえますか?」と言われるのではないか、そんな恐怖があるから。
安心してほしい。多くの美容院はちゃんと、男性を客として見ている。
とはいえ、注意事項はある。美容院の客の女性比率は高いし、理容室にできて美容院にできないことはある。逆を言えば、それさえ押さえておけば美容院なんて恐るるに足らない。
美容院の女性客の比率は高い
まず、さっきも書いた通り、美容院の女性客の比率は高い。(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べの「15~69歳男女の美容サロン利用実態」によると、女性の美容室利用率は81.5%、男性の美容室利用率は34.0%。圧倒的に女性の方が美容院を利用している。
とはいえ、男性の客がいないかというと、決してそんなことはない。となりの席で髪を切っている客が男性だなんて珍しくない。常に孤独なわけじゃない。
そもそも誰も周囲の客に興味はない
というかそもそも論、美容院の客が自分以外全員女性だったところで、周囲の客は気にしない。誰も周囲の客に興味はない。多分マネキンが座ってても気づかれない。堂々としていればOK。
万が一、「男が一人で美容院なんて来てる。プークスクス」なんて笑う輩がいれば、シンプルに性格が悪い人だから気にしなくていい。あるいは「男性は理容室、女性は美容院」という昭和の価値観を背負って現代まで生きている絶滅危惧種。保護団体に電話して、厳重に保護してもらうのがいい。
男性客が多めの美容院を選ぶのもあり
美容院に男性が行ってもいい事はわかったけど、そんなことを言われても抵抗あるんだよって人には、比較的男性客が多い美容院を選ぶのもお勧め。
例えば、ホットペッパービューティーの「メンズにもオススメ」と書かれた美容院であれば、比較的男性客が多い傾向にある。メニューを見て、メンズカットが充実していればなお良し。
または、ビジネス街の近くにある美容院を探すのもいい。ビジネス街ある美容院は、会社帰りのリーマンがついでに寄るなんて使われ方もする。美容院の中をちらっと覗いてみて、スーツ姿の男性客が多ければ、比較的男性客が多い美容院だと言える。
最初はメンズ専用美容院もあり
それでもそれでも無理だって場合は、店舗数は少ないがメンズ専用美容院がお勧め。
メンズ専用美容院は、文字通り客を男性に限定した美容院。客は当然男性のみ。雰囲気も、男性向けに落ち着いている場合が多く、空港のラウンジに入る感覚で入店できる。
美容院と理容室のメニューは違う
もう一つの注意事項として、理容室でできて美容院でできないことはあるのか。
結論から言うと、美容院では法律上、顔ぞりができない。もしも顔中にシェービングクリームを塗りたくられて、ジョリジョリと顔の産毛を剃り落とされるのが好きならば、美容院では残念ながらできない。眉毛をカットはしてくれるが、それが限界。髭は触れもされない。
顔ぞり髭剃りは絶対にやって欲しいって人は、美容院は向かない。
余談
ちなみに、「美容室で男性のカットのみは禁止」と聞いたことがある人はいるかもしれないが、それは2015年7月までの話。現在は、美容室で男性がカットのみを受けることは、何も問題ない。
来店前にやること
ここまで聞けば、美容院への不安感はもはや消えたと思うので、いよいよ実際に美容院に行くために手を動かす。
予約を取る
まずは予約を取る。予約なしで対応してくれる美容院もあるが、美容師さんの手が空いてなければ断られるし、場合によっては待ち時間も長くなる。
予約は、ホットペッパービューティーや楽天ビューティーなら、オンラインで完結できて楽。もしも今すぐ行きたいのなら、電話で確認するのがいい。
指名は不要
次に美容師さんの指名だが、新しく行く美容院であれば基本不要。だって、誰にあたろうがその美容師さんとは初めまして。指名するメリットがない。
ただしクオリティを求めるなら、「店長」、「指名料が高い美容師さん」、「メンズカットが得意と謳っている美容師さん」あたりを指名するのはアリ。
ヘアスタイルの希望を考える
後、事前にヘアスタイルの希望を考えておく。
美容院に行って必ず言われるのは、「本日はどんな感じにしましょうか」だ。初見で「おまかせで」なんて言われると、さすがに美容師さんもどうすればいいか困る。なので、事前に希望を考えておくのがいい。できれば、希望するヘアスタイルの写真を準備しておけば完璧。
どうしても希望がなければ、「大人っぽくしたい」とか、「ツーブロックに挑戦してみたい」とか、ふわっとした感じでもOK。当日に、美容師さんとカタログを見ながら最終決定すればOK。
首周りが詰まる服は避ける
当日は、首周りが詰まる服は避けるのが無難。パーカー、タートルネックなど。
ベリーショートの場合は問題ないかもしれないが、襟足を切るときに邪魔になりがち。できれば首周りがすかすかの服を着ておく。
実際に店に行く
予約の時間になったら、美容院へと向かう。予約している旨と名前を伝えれば、席へと案内される。初回だと、カウンセリングシートを書く場合もある。席に美容師さんがやってきたら、カウンセリングがスタート。
美容師さんに希望の髪形を伝える
「本日はどんな感じにしましょうか」から始まるので、事前に決めた髪形を伝える。あるいは、雰囲気を伝えて具体的なヘアスタイルを相談する。
カットクロスに袖を通す
ヘアスタイルが決まれば、カットが始まる。首周りにタオルとかを巻かれ、全身にシーツみたいなやつ(カットクロス)を巻かれててるてる坊主になる。ここまでは理容室と同じ。
美容院の場合、カットクロスに袖を通すところがある。袖付きてるてる坊主。美容師さんかアシスタントさんが袖を通しやすいようにカットクロスを広げてくれるので、カットクロスに袖を通す。
美容院デビューのぼくはそんなこと知らなかったので、カットクロスを広げた美容師さんを前に何すればいいのかわからず固まった。美容師さんも、ぼくが一向に袖を通す気配がなくて固まった。
後は美容師さんにお任せ
後は美容師さんにお任せで問題ない。
「髪を流しますのでこちらへどうぞー」と言われればひょこひょことついて行けばいいし、「顔をちょっと右側へ傾けてくださーい」と言われれば傾ければいい。つまり、AlexaやSiriになり切ることが重要。
お話好きな美容師さんの場合は、「今日お仕事ですかー?」とか「休日何してるんですかー?」と質問が降って来るので、カット中は美容師さんとの雑談を楽しむのもいい。
万が一雑談が苦手なら、諦めててきとうに受け答えしといてほしい。カット中に美容師さんと雑談したくないけどどうすれば、と言うのは、美容院利用客が長年抱え込んでいる未解決問題。フェルマーの最終定理並に解決が難しいので、初見ではどうにもできない。無口な美容師さんを見つけるよりほかはない。
ワックスはつけよう
カットを終えると、ワックスをつけていいか聞かれるので、ぜひつけてもらおう。最近の男性のヘアスタイルはワックスありきの節がある。なので、ヘアスタイリングのプロである美容師さんに、ヘアスタイルの完成系を作ってもらうのがいい。例え、今日は家に帰ってシャワー浴びて寝るだけだったとしても。
鏡に映る、ワックスでセットされた自分の姿は、きっとワンランク美しくなっている。
美容院と理容室の好きな方を使おう
ここまでで、美容院デビューの方法は理解できたと思う。美容院に行きたいけど、恐くて行けれないと思っていた人は、これを機に是非美容院デビューしてみて欲しい。
美容院を利用したうえで、ヘアスタイルや雰囲気が合えば、そのまま継続して美容院を使えばいいし美容院よりも理容室の方があってるなあと思えば、理容室に戻ればいい。世界は、どちらかを使えと強制しているわけではない。
選択肢を持ったうえで、自分に合った場所で髪を切る人が一人でも増えると嬉しい。