理容室(床屋)と美容院、結局何が違うのだろうと人生で一度は考えたことがあると思う。
「美容院 理容室 違い」とググったら約1,340万件ヒットする語られつくされた話題だけど、知っとくと面白いし話のネタにもなるので、一応このブログでも触れておく。ところで、「理容室 美容院 違い」でググったら85万件しかヒットしなかったのなんで?
というわけで今回は、理容室と美容院の違いを解説する。美容院での雑談ネタに迷っている人に、是非読んで欲しい。
法律的に別物
しょっぱなから結論から言うと、法律的に提供できるサービスが別物。
理容室は、理容師法に基づいて定められた資格を持つ「理容師」が「理容」のサービスを提供する場所。一方、美容院は、美容師法に基づいて定められた資格を持つ「美容師」が「美容」のサービスを提供する。そのまますぎて何も言えない。理容と美容ってなんだ。
で、理容師法の「理容」の定義は以下。
この法律で理容とは、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えることをいう。
理容師法 第一条の二
美容師法の「美容」の定義は以下。
この法律で「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。
美容師法 第二条の一
ざっくり言うと、利用が容姿を整えることで、美容が容姿を美しくすること。
理容室に行けば容姿を整えてくれるし、美容院に行けば容姿を美しくしてくれる。ありがとう。抽象的過ぎてやっぱりわからん。まあ、法律はざっくりと書かれてるものだし、しかたない。
ちなみに、理容師法と美容師法の概要は、厚生労働省がわかりやすく情報を公開しているので、ざっくり知りたい人にお勧め。
理容室と美容院のサービスはほとんど変わらない
で、「整える」と「美しくする」で、具体的にどんなサービスの違いが出るかというと、令和4年9月現在では、ほとんど変わらない。理容師も美容師も、カットできるし、パーマできるし、カラーもできる。理容師ができることは、だいたい美容師もできる。法律の上では。
理容師と美容師が区別されていた平成
そもそも、理容師と美容師の提供するサービスが明確に区別されていたのは、平成27年の7月まで。理容師法は「理容師が仕上げ目的以外でパーマを当てること」を禁止していたし、美容師法は「美容師が男性にカットのみを行うこと」を禁止していた。
つまりパーマは美容扱いで、男性のカットは理容扱いだった。なかなか時代を感じる。
とはいえ、こういった区別は、平成で消え去った。男性が美しさを求めるのも当然だよねという時流に乗って、理容師法も美容師法も現代へと適合し、ほとんど区別はなくなった。
得手不得手はある
とはいえ、平成27年の7月までは、理容師が仕上げ目的以外のパーマを当てることは禁止されていたし、美容師が男性のカットのみを禁止されていたことは紛れもない事実。また、理容師と美容師の垣根がなくなってきたとはいえ、理容室の利用者は男性が多いし、美容院の利用者は女性が多いのが現状。
理容師は清潔感がある髪型にカットするのが得意だろうし、美容師はスタイリングやパーマで遊ばせる髪形にカットするのが得意な傾向は残っているとは思う。
美容室での顔そりだけは無理
で、唯一、理容師にできて美容師にできないことがあって、それが顔そり。
理容室を利用したことがある人ならわかると思うけど、理容室では顔全体にシェービングクリームを塗りたくられて、カミソリで顔全体の産毛を剃ってくれる。産毛のなくなった顔は、1トーン明るくなって、気分もすっきり。
一方で、美容院では顔そりができない。美容師はカミソリを使えない。厳密に言うと、「化粧に付随した軽い顔そり」は美容として扱われて問題ないらしいが、理容室でするようなガッツリとした顔そりは理容として扱われて禁止されている。
美容室で行えるのは、ハサミやシェーバーを使って、眉を整える美しくするまで。
どうしても顔そりがしたければ、理容室で顔そりだけお願いするか、顔そり専用のシェービングサロンを利用するのがいいと思う。
いっそ、顔全体を脱毛して、そもそもムダ毛を生やさない様にしてもいい。
メンズ脱毛の始め方を解説した記事は下記。
設備も違う
サービスの違いに付随するところもあるが、理容室と美容院では一部の設備も違う。細かいブランドとかはわからないけど、初めて美容院を利用する人にはびっくりの大きな違いもある。
カットクロスに袖があるかないか
個人的に一番衝撃だった違いは、カットクロスに袖があるかないか。
理容室ではカットを始める前に、全身にシーツみたいなやつ(カットクロス)を巻かれててるてる坊主になると思う。これ自体は美容院でも同じだが、美容院のてるてる坊主にはなんと袖がついている。袖から両腕を外に出して、自由に動かすことができる。髪を切られながらダブルピースとかもできる。
理由を美容師に訊いたところ、「美容院の方が、理容室よりも時間がかかる傾向があるので、その間暇をつぶせるようにするためではないか」とのことだった。
確かに、理容室はカットとシェービングのお客が多く、待ち時間はせいぜい一時間程度。待てるレベル。カット中暇なら、理容師と話していても良い。
対して、美容室ではカットに加え、パーマやカラーを頼む客も多い。パーマやカラーはとにかく待ち時間が長い。髪の長さにもよるが、カットだけの倍かかることもある。あげく、パーマ液をかけてる間は美容師もやることないので、どっか行く。話し相手もいない。暇になる
美容院の無駄な暇時間を解消するため、美容院のカットクロスは理にかなっている気もする。
洗髪台がうつ伏せ用か仰向け用か
他に、髪を流すときに使う洗髪台にも違いがある。
理容室では、顔を下に向けて洗面台に突っ込み、洗髪をすることが多い。特に、昭和から続くような歴史ある理容室では、だいたいこっち。対して、美容院ではリクライニングチェアのような椅子に座り、後ろへ倒され、仰向けのまま洗面台に頭が突っ込まれることが多い。
この理由も美容師に訊いたところ、「うつ向けだと顔に水が垂れ、メイクが落ちる危険性があるので、女性客の多い美容院では仰向けなのではないか。多分」とのことだった。
なお、ググったところ、「武士の時代、仰向けで人に腹を見せることは切腹を連想するため、うつ伏せになった」という歴史溢れる一説もあった。真偽は不明。
美容院の方がドリンクでがち
後、美容院はドリンクがでがち。鏡の前にドリンクメニューが置かれていて、「お飲み物どれにしますかー?」と訊かれたりする。
初めて美容院に行った時は、間違えてカフェに入ったんじゃないかと不安になった。
男女比が違う
最後に、言わなくても分かってると思うけど客の男女比が違う。女性客の方が多め。
(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べの「15~69歳男女の美容サロン利用実態」によると、女性の美容室利用率は81.5%、男性の美容室利用率は34.0%。
とはいえ、これも元々、男性が美容院でカットのみができない都合上、子供の頃から理容室へ通い、そのまま大人になった影響が大きいと思ってる。気にしたら負け。
整えたいか美しくなりたいか
ここまでをまとめると、整いたかったらサウナか理容室、美しくなりたかったら美容院、となる。自分が求める髪形は人それぞれなので、ネットに公開されているカットモデルの写真を見て、気に入った髪型を公開している方へ行けばいいと思う。
理容室に行くのも美容院に行くのも、自分の見た目が良くなる手段でしかないので、求める結果によって決めればいい。日によって変えてもいい。理容師も美容師も怒らない。多分。
で、永住してもいいなってところがもし見つかれば、その理容室か美容院の常連になって、毎回自分にピッタリ、毎回幸せになれる。すごい。