メンズ美容が注目を浴びて、脱毛やスキンケアを意識する男性が増えている一方で、メンズネイルは驚くほど注目されていない。それどころか、ネイルを楽しむ女性に対し、「ネイルは男受け悪いからやめたほうがいいよ」と余計なお世話アドバイスする始末。男性はネイルを嫌いすぎ。
とはいえ、男性がネイルを嫌っている理由は単純。メンズネイルをやったことがないから。未知は恐怖。シンプルな話。実際にメンズネイルを始めると、ネイルへの価値観はひっくり返る。メンズネイルは、男性が想像している以上にメリットがあるし、なにより楽しい美容。
ということで今回は、メンズネイルを1年以上経験したぼくが、メンズネイルを始めるべき理由を解説する。「メンズネイルを始めて見たいなー」と考えている男性や、「爪に色塗って何が楽しいの?」と思っている男性に是非読んで欲しい。
そもそもメンズネイルとは何か
「ネイル」と聞いて、女性が爪に施しているようなカラフルでキラキラでゴテゴテしたイメージが浮かんだ人は、そのイメージを消して欲しい。それもネイルの一種だが、メンズネイルとは違う。
メンズネイルとは、手や足の爪を整え、爪の周り(指のささくれなど)をケアをすること。
メンズネイルは、特別に美意識が高い人がやることでも、イケメンにしか許されない美容でもない。大半の男性は、爪切りを使って爪の形を整えていると思うが、メンズネイルは日常の爪切りの延長線上にある身近な美容。
女性のネイルは着飾り、男性のメンズネイルは整え
ぼくたちがよく目にするのは女性のネイル。女性のネイルと男性のメンズネイルの違いをざっくり言うなら、爪に色を付けるかどうか。
女性のネイルは、ジェルネイルが主流。ジェルネイルとは、自分の爪の上に、色のついたゲル状の樹脂をコーディングするネイル。爪の上に様々なカラーやデザインを乗せることで、アートのような爪が出来上がる。
対して男性のメンズネイルは、指先の整えが主流。爪の上にカラーやデザインを乗せるのではなく、自分の爪を切り揃えたり、爪の表面を磨いたりして、自分の爪そのものを整える。指先に清潔感を出すのが目的だ。
もちろん、男性でもマニキュアを塗ったりジェルネイルをする人もいるが、今のところ世間に受け入れられていないので個人的にはお勧めしない。ぼくの肌感的に「多様性の時代だし、男性だってマニキュアしてもいいし、ジェルネイルをしてもいいと思う。ただし、身内や彼氏がやろうとしたら、全力で止める」という空気。肌感が間違ってたらごめん。
メンズネイルのメリットはたくさんある
さて、メンズネイルが爪を整える美容であることは分かったと思う。では何故、日常の爪切りに加えてわざわざメンズネイルを施す必要があるのかというと、メンズネイルには多くのメリットがあるからだ。
いつもより清潔感が出る
メンズネイルをすると、いつもより清潔感が出る。
爪を切るには技術がいる。爪の切り方によっては、爪の赤い部分が短くなったり、爪先がガタガタになったりする。髪の毛を自分で切るよりも美容師さんに切ってもらうほうが美しくなるように、爪も自分で切るよりネイリストさんに整えてもらうほうが美しくなる。そして、美しい指先は、清潔感を出す。
自分の指先が他人に見られる機会は、意外と多い。名刺を差し出す時、物を渡す時、ふと相手の方を見た時など、指先がちらちらと相手の目に入る。
自分の爪が、噛んだ後のようなガタガタの爪だと、相手はどう思うか。きっと、清潔感のないやつという烙印を押される。ビジネスの相手であれば「だらしなさそうな人だから仕事を任せていいのか不安」と仕事の機会を失うし、恋愛の相手であれば「清潔感のない人はちょっと……」と去っていく。
美しい指先は清潔感を出し、清潔感は自分の好感をあげる一つの手段となる。
テンションが上がる
メンズネイルを施した綺麗な爪は、テンションをあげてくれる。
美容院に行って、美容師さんにセットしてもらった髪を見て、「お、決まってる!」とテンションが上がることはないだろうか。人は、いつもよりコンディションがいい自分のパーツを見るとテンションが上がる。
そして、自分の髪を見るにはいちいち鏡の前に立たないといけないが、自分の爪を見るのはその場でできる。いつでもコンディションのいい爪を見て、いつでもテンションをあげることができる。
綺麗な爪は、時間も場所も問わずに自分のテンションをあげてくれる最高の美容だ。
会話で癒される
メンズネイルを施してもらっている間は、ネイリストさんとの会話で癒される時間だ。
メンズネイルの施術中は、椅子に座ることしかできない。片手は常に施術中で動かせず、スマホで時間つぶしもしにくい。逆を言えば、メンズネイルを施される時間は、現代社会においてスマホから意識を離すことができる数少ない時間。
メンズネイル中にできることと言えば、ネイリストさんとの会話だけ。接客のプロであるネイリストさんは会話も上手いので、せかせかした現代社会から離れ、ただ人と話すだけの空間に身を置くことができる。
デジタルから離れたアナログな会話だけの時間は、心が休まるし、癒される。
しかしメンズネイルをする人は少ない
いいことづくめのメンズネイルであるが、美容意識の高い10代20代でさえ、メンズネイルをしたことがある人はごく僅か。
株式会社SheepDogが2021年10月に行った「メンズネイルに関するアンケート」によると、15~29歳の男性300名のうち、メンズネイルを「したことがある」または「定期的にしている」と答えた人は僅か8.67%。圧倒的に少ない。
つまり、メンズ美容最大のブルーオーシャン。即効で、周囲から抜きんでた美容男子になれる。
やらない理由がない。
メンズネイルはどこでできるのか
メンズネイルの唯一の問題点は、メンズネイルができる店舗が少ないということだ。
一番のお勧めは、メンズネイル専用サロンへ行くこと。しかし、店舗数が非常に少ないので、住んでいる地域によっては存在さえしないかもしれない。
もう一つの方法は、女性向けに展開していたネイルサロンのメニューを確認して、メニューにメンズネイルがあるサロンへ行くこと。最近のメンズ美容の高まりに合わせて、メンズネイルを提供し始めるネイルサロンも増えており、メンズネイル専門サロンより探しやすくはある。ただし、客の女性比率が非常に高いので、心理的な抵抗感はあるかもしれない。
サロンに頼らず、自宅でセルフネイルという方法もあるが、最初はお勧めしない。爪はデリケートな部位なので、素人がセルフネイルに手を出すと、逆に爪を痛める可能性が高い。
店舗を探す労力はかかるかもしれないが、それ以上のメリットは必ずあるので、興味を持った人はメンズネイルができるサロンを探してみて欲しい。
ちなみに、メンズネイルができるサロンの選び方は以下
綺麗な爪が見える景色を綺麗にする
爪は、気を使う必要がない部位として、男性に長い間放置されてきた。しかし、ここ十年ほどでメンズネイル専用サロンが登場したり、メンズネイルを盛り上げようとする動きは加速している。
十年後、二十年後には、女性のネイルと同じく、男性もメンズネイルを当たり前にする時代が来るかもしれない。
今からメンズネイルを始めておけば、メンズネイルの先駆者として、時代に名を残せる可能性は高い。保証はしない。
メンズネイルを始める敷居は高いが、メンズネイルに興味を持った人は勇気を持って飛び込んでみて欲しい。ふと目に入る綺麗な指先は、きっと見える景色を綺麗にしてくれる。